冷たい風に打たれて


風華はゆっくりと箸を揃えて置く


「で、今回のお困りの事は…。」


福永がすまなそうにそれでいてしっかりとした瞳で風華を見つめた


「北海道から東北でもうじき収穫の農産物が最近の荒れた天気で打撃を受け…更に明日来る寒波で全て駄目になってしまいそうなのだよ。この損害は数百億円余りになりそうなのだ。」

「分かりました。寒波が来るのを2日程遅らせましょう。」

「一之瀬君。ありがとう。」


福永が座りながら深々と頭を下げる


「頭を上げて下さい。福永先生。」

慌てて風華は福永に言う


「いや。君はたった一人で今まで何度もこの国を救ってくれた事か。話には聞いていたよ。ご両親が亡くなって次の日にはもうこういった事をさせられて…私達政治家がなんとかしなければいけないはずなのに。」


「いいんです。これが私の境涯ですから。」

風華は優しく笑う


それを見た福永は悲しそうに風華に微笑む

「ありがとう。」



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