冷たい風に打たれて
力と結びつく身体
翌日 土曜日 早朝
風華は宿泊したホテルを出て一人、海沿いに来ていた
辺りはまだ暗く微かに東の山側が明るくなって来ている
風華は荒れて白波が立っている海の向こうを見ていた
上空は相変わらず雨雲が覆い太陽の光を遮ろうとしている
風華は険しい表情でそれを見つめる
その時、肩を叩かれ風華は俊敏に後ろを振り返った
「神谷。」
「風華様。どうなされたのです?調整を行うにはまだ時間があるはずですが。」
「風が変わったの。勢いよく寒気がこちらに向かっているわ。」
風華はそう言うとまた海の奥の風を見つめる
「早いけど、私はもう行くわ。」