冷たい風に打たれて



「神谷主任。」

海を見つめていた神谷に後輩が声をかけた

「なんだ?」

「せっかく北海道に来たんですし、観光しましょうよ!あ、夜飲みに行きません?」


「そうですよ。俺らがただ海を見てたって何も変わらないんですし。せっかくお荷物は居ないんですよ!」


お荷物、つまり風華の事だった


「お前達は、風華様が…いや、なんでもない。私はいいからお前達だけで行って来い。」


神谷はそれを許し断り二人が部屋から出て行くとまた海を見つめた


交代制とはいい、24時間勤務で疲れているだろうと後輩の気遣いの反面


風華自身が飲まず食わずで身体を張り、日本の為にやっている事が


誰にも気付かれずに誰にも感謝されずに
身近な人間にすら理解すらされない事に神谷は悲しくなった


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