冷たい風に打たれて


通夜の最中に私は警視庁幹部より風華様の護衛をする様に辞令を受けた


そして一夜明けた朝方に長野県警の山岳救助隊より連絡が入り、風華様を葬儀所より連れ出した



簡単な自己紹介をして用件を伝えヘリで長野へと向かった

その時も無表情で前をじっと見つめていた


そしてその山の上空へ到着するやいなや扉を開け飛び出した



私は制止しようとする間もなく


さっと翔びその姿は吹雪にかき消された


私は慌ててその名を呼ぶ



するとさっきまでの猛吹雪は止み周囲は晴れ渡った


風華様は両手を広げその中心で髪をなびかせ、ゆっくりとくるくると回りながら舞っていた


その姿は神々しく私の様な凡人とは全くの異なる者だと実感した


そして初めて、それを目にした私はわずか13歳の少女に一目惚れの様な感覚を抱いた




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