冷たい風に打たれて


「すぐに病院へと向かってくれ!」


「ですが、一之瀬様は?」


「彼女は大丈夫だ。この二人の命が危険だ一刻も早く処置を受けなければならない。急いでくれ。」
風華様は一人になりたいのだと感じた

「はい!」



ヘリがその場を離れる瞬間




「……で…お……さ………ん…」


風華様の悲痛な叫び声がヘリのプロペラの音にかき消され微かに聞こえた









ー置いて逝かないで!!ー


ーお父さん!!お母さん!!ー


ーお願いだから!ー





13歳の風華様の悲痛な叫びは誰にも聞かれたくはなかったのだろう



これから汚れきった世界へと揉まれて行くには仮面を被り自分の意思はあまり表面に出しては押さえ込まれ利用されるだけだと


風華様自身には解っていたに違いない



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