冷たい風に打たれて
神谷が走らせた場所は銀座だった
高級ブティックの前に車を止める
「神谷?一体何?」
神谷は無言のまま風華の手を取り店に入る
「神谷様、いらっしゃいませ。」
店員が丁寧に神谷にお辞儀をする
「この方に似合うコートを選んでくれ。」
「えっ?」
「かしこまりました。」
そう言うと女性店員が風華を上から下まで覗き込むように見つめた
「では、こちらへ。」
風華はなされるがままの人形のようになった
様々なコートやジャケットを着せられては脱ぎ、また着せられては店員はうーん、と首をかしげた
「スタイルがいいのでどれもお似合い過ぎて…。迷うわね。」
それをソファーに座って聞いていた神谷は立ち上がった
「じゃあ、それを全部頂こう。」
「ありがとうございます。神谷様。」