冷たい風に打たれて
つま先が屋上のアスファルトにゆっくりと着く
風華は手すりについた手で身体を支えた
カシャン
自らの重みで古びた手すりがしなる
「風華?」
真っ赤な太陽に照らされた人影がこちらへ振り返り近づく
風華は太陽の逆光で顔は見えなかったがその人だとすぐに気がついていた
「水樹…。」
「良かった!今日来ないかと思ったよ!!」
「でも、何でここ(屋上)に?」
「なんとなく。授業終わっても来ないから、ここならって。」
「そう…。」
「どうしたの?!元気ないよ?」
心配そうに水樹が顔を覗き込む
「なんでもない。」
冷たい口調で無表情に水樹言う
「水樹。やっぱり私…友達になれない。」
風華がコートに目線を落とす
すると、真っ赤なコートのお腹の部分が少し黒ずんでいた
それを両手で慌てて隠した
顔や足元など見える部分にあの二人が蹴り飛ばさなかった理由はすぐに理解した
他の人に暴行の痕を気づかれない為だ
逆にその悪意が役立った
水樹には気づかれてはいないようだ