Salvation 〜救い〜
次の日あたしは

鈴木さんに

ありきたりの

報告だけをした



吉沢俊樹が

一人で暮らしていること

恋人がいると思われること

生活は厳しそうなこと



あの

注射器のことは

とりあえず

ふせておいた



なんとなく

言いそびれてしまったのだ



『そう。じゃあ また時々様子を見に行ってきてね』

と鈴木さんは言った



『ああいう男の子たちは どうしても犯罪に手を染めやすいのよ しっかり見てあげてね』

とも言った



それには手遅れかもしれないですよ

とあたしは心の中で

そっとつぶやいてみた



でも

注射器のことを

鈴木さんに言ったら

おそらく

警察に通報することになる



あたしは

なぜか

わからないけど

彼を警察に

まかせてはいけない

と思った



あたしは

ソーシャルワーカー

失格かもしれない



でも

どうしても

吉沢俊樹のことは

せめて

もう少し

自分で

動いてみたい

という

気持ちになっていた
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