Salvation 〜救い〜

もちろん

クスリはちゃんと

効いてきている



しかし

一番忘れたかった

あの女・・・

アオヤマヨウコのことは

朦朧としてきた

頭の中でも

まだ鮮明に

思い出してしまう



ただ

違うのは

さっきまでの

苦しい気持ちではなく

ヨウコのことを

考えると

甘美な感情が

繰り返し

トシキの胸を

おとずれる




なんだよ、これ・・・



トシキは

もやがかかったような

脳の片すみで

つぶやいた



青山洋子

青山ヨウコ

アオヤマ洋子

アオヤマヨウコ



何度か声に出して

その名前を

呼んでみる



どうしたんだろ　俺・・・



わけわかんねぇ・・・



トシキは

ケータイを

手に取り

着信履歴にあった

「横井俊一」を

プッシュした