Salvation 〜救い〜
『ねぇ・・・ 吉沢俊樹君・・・』

ヨウコが水を一口飲んでから

口を開いた



うん・・・?



『なんて呼べばいいかな? 吉沢君?俊樹君?』



べつに・・・ なんでも・・・



『じゃあ トシキ君って呼ばせてもらうね』

ヨウコの顔が一瞬華やいだ気がした



好きにしてくれ・・・



『トシキ君・・・ さっきバイト探してるって言ってたけど・・・』



こないだ

今までやってたバイト

クビになったから・・・



『情報誌とかは見てるの?』



ったりめえだろ・・・

それで全然ダメだから

街に出て皿洗いのバイトでも

探そうと思ってたら

あんたが来たんだよ



『そうだったの・・・ それは・・・ ごめんなさい』

ヨウコは本当に申し訳なさそうに

うつむいてしまった



いや べつに いいけどよ・・・



また二人とも

沈黙してしまったが

ちょうど

オーダーした

コーヒーと

レモンティーが

運ばれてきた



トシキは

気まずさを

隠すように

熱いコーヒーに

手を伸ばして

すぐに口に

運んでしまった



あちっ!!!
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