Salvation 〜救い〜
横井俊一
Calling.....Calling
英語の着信音は
やかましくトシキをせかす。
「横井俊一」
と着信画面が知らせていた。
慌てて
受信ボタンを押しながらも
壁の掛時計が
既にもう夜中の2時近くを
指しているのを
横目でチラッと見た。
「横井さん、どうしたんですか、こんな時間に?」
できるだけ
皮肉な口調にならないように
おさえて言ったつもりだった。
「あ?迷惑だって言ってんのか?お?」
聞きなれた横井の声だった。
ちょっとでもなにか
気に食わないことがあると
こうして相手を
いかくするような口調になる。
「いや、そんなこと言ってませんって。」
「まぁ、いい。今すぐいつものサテンに来い。」
有無を言わせないトーンの声だった。
「わかりました。すぐに出ます。15分後に。」
それには返事をせずに
横井は電話をきった。
横井は20代半ばの
俗に言うチンピラだった。
トシキは9歳の時
入所した施設で横井と出会った。
昔は体の小さかったトシキを
よく可愛がってくれた。
年は6歳も違うが
気の優しい兄貴のような存在だった。
まだ成長期を迎える前のトシキを
肩車してくれたり
キャッチボールをしてくれたりした記憶は
トシキの中にしっかり残っている。
その頃は施設の中の愛称で
横井を
「シュンちゃん」
と呼んでいた。
18歳になって
施設を出た横井だったが
時々施設に遊びにきていた。
数年は真面目に働いていたようだったが
いつからかヤクザとかかわりを持つようになり
目に見えて
服装と雰囲気が変わっていった。
トシキが初めて横井の仕事の手伝いをしたのは
定時制の高校に通いだして間もなくの
16才の時だった。
英語の着信音は
やかましくトシキをせかす。
「横井俊一」
と着信画面が知らせていた。
慌てて
受信ボタンを押しながらも
壁の掛時計が
既にもう夜中の2時近くを
指しているのを
横目でチラッと見た。
「横井さん、どうしたんですか、こんな時間に?」
できるだけ
皮肉な口調にならないように
おさえて言ったつもりだった。
「あ?迷惑だって言ってんのか?お?」
聞きなれた横井の声だった。
ちょっとでもなにか
気に食わないことがあると
こうして相手を
いかくするような口調になる。
「いや、そんなこと言ってませんって。」
「まぁ、いい。今すぐいつものサテンに来い。」
有無を言わせないトーンの声だった。
「わかりました。すぐに出ます。15分後に。」
それには返事をせずに
横井は電話をきった。
横井は20代半ばの
俗に言うチンピラだった。
トシキは9歳の時
入所した施設で横井と出会った。
昔は体の小さかったトシキを
よく可愛がってくれた。
年は6歳も違うが
気の優しい兄貴のような存在だった。
まだ成長期を迎える前のトシキを
肩車してくれたり
キャッチボールをしてくれたりした記憶は
トシキの中にしっかり残っている。
その頃は施設の中の愛称で
横井を
「シュンちゃん」
と呼んでいた。
18歳になって
施設を出た横井だったが
時々施設に遊びにきていた。
数年は真面目に働いていたようだったが
いつからかヤクザとかかわりを持つようになり
目に見えて
服装と雰囲気が変わっていった。
トシキが初めて横井の仕事の手伝いをしたのは
定時制の高校に通いだして間もなくの
16才の時だった。