Salvation 〜救い〜
『おいおい・・・ グラスが倒れるって・・・』


大丈夫だよぉ



ミカは器用に

グラスを倒さないように

トシキに

しがみつくようにして

畳の上に

押し倒した



ねぇー トシキー



ミカのこと好き?



『ん・・・あぁ・・・』



もぉー ちゃんと言ってよー



『ん・・・まあ・・・好き・・・だよ』



ミカも

だーいすきだからねー



トシキの薄い唇に

ミカのぽってりとした

唇が重なっていく



トシキはー

ミカがー

東京来てー

いっちばん

好きになった

人なんだよぉ



トシキは

何も言わず

天井を

見つめている



そのトシキを

見つめながら

ミカが言った



ミカの

育った町だとね

そうやって

仰向けに

寝っころがると

お星様が

いーっぱい

見えたんだ



でも

東京は

ぜんぜん

見えないよね
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