いくつかの夜
笑えない夜
「いらっしゃいませ。」


今夜は急遽、父親の店を手伝うことになった。

バイトくんが試験で休みの為。

近くにはレストランや飲み屋さんが多いため、深夜帯のお客様を狙っての営業。

ホステスさん宛ての花束や、愛する人への花束。

頑張った自分へのご褒美の花束。

いろんなお客様がいる。

結構面白い。

ただ、酔っ払いだけに、たちの悪いのもいないわけではない。

なので、夜は店長の父を中心に男性ばかりでシフトを組んである。

むさくるしい花屋は以外にホステスさん達に人気らしく、近く、ボーイズバーに変更しようなんて冗談も真顔で言う父親。

花束用のリボンを整理している私の横で、計算機を叩く父親を見ていると、もしや……なんて思ったりもしてしまう。


「すみませ〜ん。」


声の主はどうやら女性。

入り口を確認した父……いや、店長が


「カップルみたいだな。お前行ってきて。」


「はーい。」


楽しそうなカップルに、営業スマイルを向けた。




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