いくつかの夜
「くしゅんっ……」


「沙良、本気で風邪ひいたんじゃね?」


「かも……くしゅん…」


繋いだ手をジャケットのポケットに入れた。

恥ずかしそうに見上げた瞳に吸い込まれていく俺は、きっとずいぶん鼻の下がのびてるに違いない。


「風邪…うつるよ?」


「どっちの?」


「どっちのだろ?」


くすっと笑って背伸びする。

冷たい唇が触れた瞬間、落ちてくる星が二人を照らす。



日曜は仕事……そんな嘘はやめにして、二人の優しい時間にしよう。




「日曜、俺の為に休んで。」


「………俺の……為?」


「そ。俺の為に。駄目?」


「駄目じゃない…けど」


「じゃ、休んで。」


「ん……じゃ、休もうかな。」


ちょっぴり唇を尖らせてそっぽを向く。


そっぽを向いた沙良が笑ってるから、日曜は二人で過ごそう。


まずはこの夜を二人で熱く過ごしてから……






―Fin―
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