甘めな年上彼氏



「うん。
……じゃあ、また。」

「……さようなら。」


向井さんに背を向けた。

だけど
すぐに振り向く。


そんなあたしを
向井さんは
辛そうに見つめた。


「向井さん…大好きです。」


「ん…俺も好きだよ。」


向井さんの笑顔を
目に焼き付けて

最後に笑って
向井さんの家を後にした。


さようなら…
向井さん。


―――――――――――


その日のバイトは
あまり笑えなくて…

家に帰ってすぐに泣いた。


体の水分が
なくなるくらい泣いた。


涙が枯れないなんて
本当にあるんだと
あたしはふと思ったんだ。









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