倉庫の王様
好きな人
毎日カーテンから差し込む陽射しを待ち侘びて目を覚ます。



朝になるのが待ち遠しいあたし。



目覚めたらすぐに洗面台を占領。



顔を洗って歯磨き。



いちばん時間がかかるのは髪のセット。



天然で少し茶色いこの髪が自分でも大好き。



髪だけはとくに気を使ってる。



大好きなあの人に触ってもらいたいから…。



「サチ~、遅れるぞ~!!」

「今出るって~」



父とふたり暮しのあたし。



記憶の中に母はいない。



「行ってくるねっ!!」

「学校行くだけなのにカワイすぎ…」

「早く子離れしなよ~」

「父ちゃんが送ろうか?」

「彼氏に間違えられるからヤダ!!行ってきますっ!!」



若くて顔のいい父は少しあたしの自慢。



父が14の時あたしが産まれたらしいけど…。



独身にしとくのが娘のあたしから見てももったいない。



現在30歳の若社長です。



父が頑張ってくれてるから不自由は全くしてない。



むしろ感謝してるんだよ。



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