倉庫の王様
ご機嫌な先生は朝ごはんの後に散歩に連れてってくれた。



もう秋になる山の中をふたりで…手を…繋ぎながら…。



恥ずかしいよ先生…。



「確かこの辺に川があって…あっ!!こっち!!」

「何年ぶりなの?」

「最後に来たのが家出した大学1年の時だったから…2年前だな」

「ウソつき。7年ぶりじゃん」

「うっせぇチビ」



夢みたいだよ先生…。



普通のカップルみたいで泣きそう…。



「ここ魚いんの」

「見えない…」

「落ちんなよ?」

「水冷た~い!!空気気持ちいいね!!」

「また連れて来てやるよ」

「絶対だよ?」

「あぁ」



先生と約束までして帰って来た家では父がいじけてた。



あたしが泊まりに行ったから…。



だけどなんだか…違和感がある。



「ねぇ父…」

「なんだよぉ…」

「誰か来た?お皿が…」

「あっ、それ父ちゃんがしまい忘れただけ!!」



2セットずつの食器とワイングラス…。



父…変だよ。



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