倉庫の王様
ふと頭に過ぎったおじいちゃんとおばあちゃん。



もう何年も会ってない…。



「あたしは父に守られて…たような…」

「思い出すな!!だから言いたくなかったんだ!!」

「でもずっと父がいたよ?幼稚園のお迎えも授業参観も…」

「サチは俺の子供だ。ちゃんと父ちゃんの子だから。大好きな娘だっ…」



父が泣くとこを初めて見た。



父の言う過去が全くわからないけど、父の言う通り思い出さない方がいいみたいに思えて…。



「お前が結婚するときに全部わかると思って黙ってた…」

「ごめんなさい…」

「なんで謝る?黙ってた父ちゃんが悪いんだ」

「父の邪魔にならないようにするから…」



あたしがそう言った瞬間パチンと頬を叩かれた。



初めて…叩かれた…。



「そう思うなら出て行きなさい。父ちゃんがどんな気持ちで今までサチといたか…」

「ごめっ…」



父を怒らせちゃった…。



自分の部屋に行ってしまった父を見て涙が止まらなくなった。



< 129 / 621 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop