倉庫の王様
どうしよう…。



どうしよ…。



父が父じゃないのにどうしてあたしを育ててくれたのか…。



今まで誰とも付き合わないで過ごして来たのはあたしのせい?



大好きな父なのに…。



「もしもし先生…?」

「どうした?」

「どうしたらいいかっ…わかんなっ…いっ…」

「なにがあった!?」

「父が…父がっ…」



父じゃないなんて信じたくない…。



ポロポロ零れる涙を我慢できなくて、電話越しに泣いた。



言葉が出て来なくて…苦しくて…。



「サチ、落ち着け。ゆっくり話してごらん?」

「うんっ…」



『父が本当の父じゃなかった…』



それだけ伝えたら電話が切れた。



電波が悪かったのかも…。



とにかく押し返しかかって来ることを願いひたすら携帯を握りしめてた。



気がつけば泣きつかれて寝てしまってたみたいで…。



リビングで声がする…。



父の声と…先生っ!!



「サチっ!!」

「父…」

「さっき…叩いてごめんな…」



また泣きそう…。



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