倉庫の王様
化学準備室から運んだ3人掛けのソファーには絶対座らせない。



近寄らせない。



お前は生徒だからここには入り込めないんだって教えなきゃなんない。



めんどくせぇけどこれが教師だ。



「先生のマンションって隣町なんだね」

「は!?」

「3日前に見たよ、女の人と入ってくとこ」

「…………女?どんな?」

「美人で黒髪で、OLさんみたいな人」



あぁ!!



俺がぶっ倒れそうになった日か!!



あれはその辺にいた女に助けを求めて…。



メシ作らせて、薬買いに行かせて…食べちゃった感じの女か。



名前すら知らねぇけど。



「面食いだね、先生」

「まぁな。お似合いだろ?」

「うん…似合ってた…」



暗くなってんじゃねぇよ…。



お前は笑ってる方が合ってるっつーのに…。



「あっ、そういや家庭訪問、親父さん都合大丈夫なのか?」

「父はあたしのためなら仕事放り出しちゃうよ~」



話題を変えたかったのに家庭の話しに行っちゃった…。



マズイか…?



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