倉庫の王様
足取り軽く学校へ向かうと毎日行く場所がある。



あたしの大好きな人がいる場所。



ふたりだけの秘密の場所…。



「おはよっ!!」

「おぉ…」

「今日もテンション低いねぇ~」

「お前が元気すぎんの」



校庭から見える体育館の裏。



そこにある忘れられかけの物置。



ここがあたしのいちばん好きな場所…。



「なぁ、飴持ってねぇ?」

「飴?かばんにあるよ~。なんで?」

「喉やられたっぽい…」

「風邪じゃなくてタバコの吸いすぎなんじゃないの?」

「黙れガキんちょ。これは大人の楽しみってヤツだ」



そう言いながらフゥ~っと煙りを吐き出す彼。



あたしの好きな人で…。



あたしの担任の先生。



「さてとっ、ぼちぼち行くかな~っ!!」



背伸びをしてからあげた飴を食べた先生にくぎづけ…。



どんな仕草もカッコイイ…。



「龍ヶ崎、遅刻すんぞ」

「一緒に出たらあたしと先生の関係がバレちゃうじゃん?」

「バカ言ってんじゃねぇよ。襲っちまうぞガキ」



そんなとこが大好きだよ、先生…。



< 2 / 621 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop