倉庫の王様
無言で浴衣を直してくれた先生は眉間にシワが寄ってる。



先生ならなにされたっていいって気持ちは前と変わってないのに…。



離れたくないのに…。



怖いなんて思いたくない。



だけど少し…怖かった…。



「楽しんでな?」

「うん…。先生…ごめん…」

「なにが?あっ、コレスペア作ったからやるよ」

「ありがとう…」



流された…。



先生なりの気の使い方なのかもしれない…。



もう付き合ってずいぶん経つのに…。



あんな雰囲気になると先生が別人に見えるよ…。



「先生…?」

「ん?気にすんなって。冗談だから。半分な?」

「半分!?」

「ウソウソ。父に泊まり許可もらったか?」

「うん…」

「じゃ、お前の誕生日に行こうか」



誕生日!!



忘れかけてたけどもうすぐ誕生日だ…。



でも…。



「誕生日はダメ…。父が…ダメだって言う…。お祝いもあんまり派手にしたくないし…」

「悪いっ!!両親の命日か…」



そうなんです…。


< 207 / 621 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop