倉庫の王様
家出してから今まで、ユリさんとは進路のこととか話し合ったりしてた。



けど親父とこうしてふたりになるのって何年ぶりだろう…。



『遊和のやりたいようにやらせてあげなさい』



そう言ったのはじいちゃんで。



俺の世話をしてくれたのもじいちゃん。



親父とじいちゃんはそれなりに話してたみたいだけど…。



「こんな時ばっかり来るな…」

「少しだけ心配してやったのにその態度かよ」

「お前に心配してもらわなくても俺は死なない」

「なんなんだよマジで。家に戻ってやろうとしてんのに」

「その必要はない。もうお前はいらない」



頭にきた。



俺がどんな思いでここに来たのか…。



これでも責任感じてんだ。



なのにどうして俺のすること全部否定すんだよ。



「ふたりとも素直になったらいいのに…。遊和、伯父さんからあなたのこと聞いたわ。ありがとう」

「ユリさん…」

「本当は家元も嬉しいのよね~?」



そっぽ向いてる親父を見てちょっとびっくり…。



素直な反応してん…じゃねぇよ…。



俺も照れるだろって!!



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