倉庫の王様
そんなふうに思ってしまったからなのか…。



フッと電気が消えた。



真っ暗…。



「えっ、怖い…」

「停電だな…。ってかここ35階だよな~…。階段とかありえねぇ!!」

「先生っ…待って…」

「なに?お前怖いの?」

「ダメ…暗いの怖いの…」



苦手な暗闇でパニックになりそうになった。



帰って来て父!!



「龍ヶ崎?」

「父…父…」

「大丈夫か!?」

「ヤダっ!!怖いよ先生っ…」



なぜか昔から暗闇がダメ。



寝る時も電気はつけっぱなしじゃなきゃ怖くて眠れない。



必死に先生の濡れたスーツを掴んだ。



ゴソゴソした先生がパカッと携帯のバックライトを着けたけど…。



「電気戻るまでいてやるから」

「待って!!怖い…」

「大丈夫だ。俺いるから。懐中電灯とかねぇか?」

「…………キッチンにある」

「ここ動くなよ?」



そう言って先生は携帯をあたしに握らせて家の中に入った。



< 28 / 621 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop