倉庫の王様
着替えもしないで部屋着のままサチとくっついてる。



もう昼になる時間。



ロフトに上がって窓を開けると寒いけどいい天気…。



「メシ食いに行って買い物して帰るか」

「へっ!?」

「だから、メシ行くかって言ったの」

「ムリじゃん!!誰かに見つかったら…」

「和食でいいなら部屋押さえるから。行く?」

「行く…」



親父と世話になってた料亭。



土曜の昼は平気か?



「あっ、宮です。今から大丈夫ですか?」

「もしかして遊和坊ちゃん?奥の座敷なら開いてますよ」

「伺います。ふたりで」

「かしこまりました」



さぁ、デートだ。



サチがチラチラ見てる中で着替えたらちょっとだけ変装。



メガネとキャップ。



上着のダウンは口元まで閉めちゃうもんね。



「行くぞ」

「本当に…平気?」

「禁断なんかクソくらえだ」



普通のデートもできないからこれくらいしてやんなきゃ。



バレた時のことなんか知ったこっちゃねぇ。



今を楽しみたい。



< 298 / 621 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop