倉庫の王様
洗い物が終わる頃に苦笑いで戻って来た先生。



シャッターを閉めたと思えばいつもはやらないカギ…。



「オバチャンって怖いよなぁ~…」

「どうしたの?」

「回覧板持ってきたオバチャンにうちの娘を嫁にもらってって言われた…」

「えぇっ!?なんて返事したの!?」

「『間に合ってます』って言った。ハッキリ断んねぇと後々うるせぇし」



やっぱり顔がいいだけでそんなこと言われるんだ…。



でも先生って人当たりもいいし…。



友達とか多かったんだろうとは思うけど…。



ほぼ金髪の不良教師を息子にしたいのかな…。



「終わった?」

「あっ、うん。テレビ見ようか!!毛玉もご飯食べたみたいだし!!」

「寝ながら見ねぇ?ロフトで」



まだそんな時間じゃないんだけど…。



夜の7時半…。



行くべき?



「眠い…の?」

「外出て疲れたからな」

「じゃ、じゃあ…お茶だけ持ってく…」



手にしたペットボトルのお茶だけがなぜか味方のような気がした…。



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