倉庫の王様
先生との距離が付き合う前みたい…。



遠い…。



遠くて手が届きそうにない…。



「怒ってんの?」

「怒ってないから早く座りなよ…」

「俺…お前に嫌われるようなことしたのか?」

「へっ!?」



急に切ない顔をするイブ君にちょっとドキッとした。



なに…それ…。



いまさらそんなこと言うとか…。



「イブ君って天然だって言われない?」

「言われない。もう宿題いい」



そう言って席に戻ったイブ君が昔と違って少しカワイく見えた。



親しい人もいないし前の転校は両親の離婚が原因らしくて…。



今は父親に引き取られたからこっちに戻ったって言ってた。



なんだか少し可哀相だったんだもん…。



その時に震えたポケットの中の携帯…。



『昼休みに倉庫にいるから』



それだけだった。



ダメだ、嬉しい…。



ちゃんと先生に謝って元に戻りたい。



ごめんね先生…。



本当にごめん…。



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