倉庫の王様
教室に戻っても、先生がいなくならなかった事実にただ浮かれた。



顔を見れただけでいい。



いてくれるだけでいい。



迷惑にならない程度に好きでいるから。



言えないけど大好き。



HRはサラッとしたもので、さすが羽賀先生。



「あのねぇ~、俺結婚したからみんなとデートできなくなった」

「「えぇぇぇっ!?」」

「相手、洋子先生なんだけどできちゃったみたいな?だから真面目にやることにしたんだ」



は…い?



そう言えば洋子先生の姿はなかった…。



羽賀先生が結婚!?



しかもパパ!?



急なカミングアウトは今日のいちばんの話題になった。



「サッチン、ちょっといい?」

「はい…?」



羽賀先生に呼ばれたのは帰る寸前のこと。



あたしに話しって…。



「カワイくないね、短い髪」

「は!?そんなこと言うために!?」

「違うけど、遊和がそう言ってた。でね、理事長がサッチンのお父さんに寄付をいただいたとかなんとかで、話しあるってさ」



ウソウソウソウソ…。



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