倉庫の王様
ここ、テレビは映らない。



だからテレビはない。



なにもしないでボーッとしてる俺とサチ。



「なんだか…ヒマすぎねぇか?」

「ヒマ…だね…」

「このままだと普通に襲う気がするんだけど…」

「えっ!?もう!?」



だって時間潰すことが見つからないし…。



危機を感じたサチがとった行動…。



「き、気持ち…いいね…。夜の海って!!ま、真っ暗で…」



散歩に誘われたから外に出たけど怯えてんじゃん…。



握った手に入る力の強さが怖い証拠。



「離れねぇから大丈夫だって」

「お、置いてったりしない?」

「わかってるから、サチがどんだけ怖いか」



少し力が緩んだ。



ダメ、カワイイ。



今の俺、お前のことちゃんと守れてる?



早めに家の中に退散。



それでもまだサチは手を離さない。



「もう寝る?」

「今日は…明るくして寝たい…」



こりゃダメか。



俺の欲求は満たされる気がしない。



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