倉庫の王様
ひとつのふとんに入ってふたりでくっつく。



久しぶりに幸せの時間…。



「お昼寝したからあんまり眠くないね…」

「電気消たら泣く?」

「泣かない…けどヤダ…」

「じゃ、早く寝なさい」



明るくて全く眠くならない。



腕枕してやってるけどサチも寝そうにないし…。



あっ、こんな時こそ進路について語り合おう。



「サチは将来なにになりたい?」

「先生のお嫁さん」

「現実的に聞いてんの」

「なりたいものがわかんないんだもん…。急かされれば急かされるほどどうしたらいいか…」

「そうか…」



たしかに進路って一生もんだし…。



難しいよな…。



それを18で決めるなんて早過ぎると俺も思う。



「焦んなくてもいいじゃんって言いたいけど…」

「教師的意見なんか求めてないからね。先生のことは先生だから好きになったんだから」



サチに先を読まれてちょっと悔しい…。



だって俺なんか今だになんで教師になったのかわかんねぇし。



親父から逃げるにはそれしかなかったのかもだけど…。



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