倉庫の王様
今は気楽な理事長なんかやってるけど、実際生徒と離れるとつまんなかったりするし。



きっと俺はこのまま、一生なにも変わんない。



「先生はなにかになりたかった?」

「やってみたかったことならいっぱいあった」

「例えば何!?」

「普通にサラリーマンとか、飛行機のパイロット…とか…」

「…………先生が?」



悪いかよ。



幼稚園の頃から舞台に上がってたんだから夢みるくらいいいじゃん…。



口に出したら殴られそうで言えなかったけど…。



「夢は夢なんだから。叶わないくらいがちょうどいいんだよ。夢見てた頃がいちばん幸せだ」

「今は?」

「現実に直面してかなりショッキング。禁断とか…アリなの?って感じ」

「じゃあ別れる?」

「二度と別れてやるか」



嬉しそうなサチをギュッと抱きしめた。



現実だって悪いことばかりじゃない。



幸せなこともたくさんあるから。



今はたくさん悩めばいい。



その先になにが待ってるのかは自分次第。



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