倉庫の王様
サチを想いながら手にするクッション。



やっぱり枕も布団も捨ててやる。



チユが触ったもの全部捨ててしまいたい。



サチは特別。



絶対嫌な思いさせないから。



「引っ越し並の量なんだけど…」

「あっ、引っ越しと言えばサチ引っ越すんだ」

「一等地のマンション暮しじゃなかった?」

「父が一軒家買ったんだって。超金持ちだよな」

「アユミ、玉の輿か…」

「セレブの仲間入りじゃん」



俺も一応それなりに出世したけど…。



僭越ながら理事長やってるもんで。



運べるものは全部運んだ。



だけど捨てるのが大変だ…。



「なんで俺が手伝わされんの…」

「そういえば何の用で来たんだよ」

「ヒマだから誰かいねぇかな~と思って」



誰もいねぇよ。



サチの友達なんか絶対紹介してやんねぇし。



真央、派手な女好きだからすぐセフレ街道まっしぐらだ。



「俺はもう女と連絡とってないから」

「お前変わったな…」



変わりましたけど?



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