倉庫の王様
やる気が出てきちゃった…。



嬉しい言葉をもらって帰った家で荷造り中の父と話し合った。



「何になりたいか自分でもよくわからないの」

「だったら父ちゃんの会社来る?」

「それはイヤ。父に甘えたら社会を知るって意味がなくなっちゃう」

「先生が言ったのかよ…。たまにまともなこと言いやがって…」



先生なら甘やかして逃げ道作ってくれる気がしてた。



将来が見えないなら嫁に来いって言ってくれると思ってたよ。



だけど逃げるために結婚なんて、あたしもしたくない…。



だからちゃんと自分の将来と向き合うね。



「幼稚園の頃は洋服屋さんになりたいって言ってたっけなぁ…」

「洋服は今でも好きだよ」

「だったらやってみたら?服作ったりする専門とか」

「自分で作るのはなんか違うかな~…。どっちかと言えば、掘り出し物とか探して売りたい」

「ほら、夢見つかった」



えっ…?



あたしのやりたいこと?



でもそれって…どうやってやるの?



「あとはね、父のお嫁さんになりたいって言ってた」

「ごめん、先生のお嫁さんになりたい」

「チッ…」



洋服か…。



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