倉庫の王様
ボーッとして針を刺した指…。



なにも手につかない…。



イブ君がもしバラしたら…?



あたしと先生はどうなっちゃうの?



バイトが終わっても電話はかかって来なくて、いてもたってもいられず来てしまった先生のガレージ…。



まだ電話が繋がらなくて仕方なくシャッターの前に座って待った。



先生…。



あたしとんでもないことしちゃった…。



0時を回った頃、足音と共にやって来た先生。



「なっ!?なにしてんだよ!!お前今何時かわかってんの!?」

「ごめんなさい…。携帯繋がらなくて…」

「あっ、会議で切ったままだった。なに?そんな顔して。そんなに会いたかった?」



自動で開くシャッター…。



少し嬉しそうな先生…。



イブ君のこと言わなきゃ…。



電気をつけて中に入れてくれた先生はすぐに指のケガに気づいた。



「血が滲んでる…」

「ぬいぐるみ作りで針刺しちゃって…」

「痛くねぇ?」

「うん…」



言わなきゃ…。



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