倉庫の王様
あたしにしか守れない、自分なりの守り方。



だから悲しくなんかない。



卒業までもう少し…。



あたしはたくさん強くなって先生のとこに戻るね。



「もういいよ…。カギもお前が持ってろよ…」

「いらない。もう先生のとこには行かない。会わないしメールも電話も、特別なことは何もしない。決めたの」

「そんなの辛いだけだろ…」

「辛くないよ。これがイブ君に対する気持ちだから。だからごめんなさい」

「もういいって…。完璧に敗北…。自分が情けねぇ…」



ソファーに座ったイブ君の落胆ぶり…。



ごめんね…。



どれほど追いかけられても、あたしは応えてあげられない。



その時ガチャッと開いたドア。



一瞬先生かと思ってドキドキした。



「なに…してんの…サッチン…」

「丁度よかった。羽賀先生、コレ、理事長に返してください」

「えっ?」

「別れたの、だけど羽賀先生がしてくれたこととか、ちゃんと無駄じゃないから」

「別れ…た?」

「これからも先生が大好きです!!だから大丈夫ですから。ねっ?」



理解してくれたのか、ニコッと笑って頭をなでられた。



もう泣かないの。



先生が大好きだから。



もう辛くない。



< 583 / 621 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop