倉庫の王様
【遊和】



正直、いっぱいいっぱい。



仕事に打ち込むしかなくなった俺は初めての海外出張。



こうして仕事してた方が俺にはいいんだ。



気にしなくていいから…。



すれ違ったサチを抱きしめたい衝動に駆られる。



目も合わせないなんてキツすぎて…。



日本を発つ前にサチに通訳といるとこを見られて正直焦った。



だから佐田を呼んで説明しちゃったわけよ…。



言い訳みたいに聞こえたらヤダな、とか思ったけど、下手な心配させたくなかった。



『羽賀先生にによろしく伝えて』

『なにをよろしくすんの?』

『俺の犬』

『…………わかった!!気をつけるんだよ~』



佐田は頼りになる。



トーヤもかなり頼りになると思ってる。



サチの生活ぶりを報告してくれるから。



『元気なかった』とか『元気すぎる』とか。



それだけで満足。



サチはサチなりに頑張ってるらしい。



「ここが高校です」

「立派なとこだな…」

「さぁ中へ」



うちの学校の姉妹校はロサンゼルス。



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