倉庫の王様
その後もサチと会うのを我慢しまくった。



俺、少しは成長できたかな…。



今まででいちばん長く感じた冬休み、年が明けて始まった学校。



しばらくしてからやっとこの日が来た。



サチとの面談。



サチの順番はうまいこと最後にした。



コンコンッとノックされたドア。



小さくてフワフワの髪…。



ニッコリ笑うサチの姿。



「入れ」

「失礼します」

「カギ…かけちゃっていいか?」

「えっ!?」

「わかってる、わかってる…なにもしない」



ダメだとわかってても止まらない。



カギをかけてしまった。



「先に言っとく、お前の進路なんかどうだっていい」

「でもっ…」

「頼む、一瞬だけキスしていい?」

「…………はい…」



たまらず抱きしめてキスした。



できるだけ短くしたつもり。



これ以上サチに触れてたら押し倒しそうで…。



「好き…。好き、好き、好き」

「あたしも大好き…」

「髪、カワイイな」

「ありがと…」



時間が足りない。



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