倉庫の王様
そしてついに明日、サチはやっと卒業する。



前日に準備が終わった体育館へ来てみた。



ここでサチが名前を呼ばれて…。



この学校を去るのか。



全然いい先生じゃなかっただろうな…。



知らぬ間に理事長なんかになっちゃってて。



４年間の記憶全部とは言わない。



だけど願わくば返してほしい、サチとの思い出…。



どんな風にサチをここで愛したのか、始まりはどんなだったのか…。



サチだけの記憶でいいから戻って来いと切に願った。



その後に行った理事長室で受話器を上げ、電話をかける。



「はい、龍ヶ崎です」

「アユミ？俺、遊和だけど。麻飛さんいる？」

「仕事中だけど回す。サッチャンにこのことは？」

「黙っててもらいたい」

「わかった。ちょっと待ってね」



別れてからずっと連絡を取り合ってたサチの親父さん。



今日の電話は緊張して声が上擦る…。



「もしもし？」

「ご無沙汰です、宮です」

「用件は？」



わかってるくせに。



なぁ？



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