なんでも屋 神…第一幕

「お前が正確な取引額は分からないと言ったのは正しい。北とはお互いの領海で取引する訳では無いからな。」



北朝鮮での覚醒剤精製と密輸は、大切な国家事業だ。日本から領海を出ると日本の巡視船に目を付けられるが、外貨の欲しい北朝鮮は、領海など無視して此方の海域に入ってくる。



無論、此方の海域に入ってくれば来る程危険は高くなり、それに伴って覚醒剤の値段は跳ね上がる。



「なんでも屋を始める前に、ある程度の知識は詰め込んだようだな。」



当たり前だ。でなければ、気軽に裏の依頼等請け負える筈が無い。



「兄ぃ、悪いけど俺には関係無い話しだし、俺が覚醒剤をどれだけ嫌っているかも知ってるだろう？俺は帰らせてもらうよ。」



俺はそのまま席を立とうと立ち上がった。それに併せて辰徳も立ち上がり、俺の行く手を塞ごうとする。



「どけよ、邪魔だ。」