なんでも屋 神…第一幕
「止まれ!」



ノリの低く発した声が、折れ曲がった造りの踊り場まで響いた。



中国人二人は、七階フロアに右足だけ乗せた状態で石像のように固まってる。


運が悪い事に、お互いの相手が逆…ノリにのっぽ、俺にチビと言う組み合わせになってしまった。



リーチの差は痛いが、上に立っている俺達が有利な事に変わりは無い。



チビの方が何か喋ったが、中国語の分からない俺には理解不能。



「…神、やっぱりチャイニーズマフィアが一枚噛んでるみたいだな。」



ノリの意外な発言にチビから目を離した瞬間…チビの右手が動いたのを目の端で捕らえた。



「痛ッ!」



見るとノリの胸に、一本の針が刺さっていた。裁縫に使うような物より、幾分太く見える。



「大丈夫かノリ!」



完全に中国人二人から目を離してしまった次の瞬間には、何かを呟き脱兎の如く階段を駆け下りていく二人の中国人。
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