なんでも屋 神…第一幕
奴等が踊り場を曲がった所迄目で追って、ノリの方を確かめる。



「痛ってー…今回は警告だとよ。」



ノリの話しでは、毒針を使う中国人の殺し屋も存在するとの事…中国は広い。



警告と言う事で毒は塗られていなかったが、ノリのスエットを捲ると、中に着た白いTシャツに一点の血が滲んでいた。



「あのチビが最初に言ったのは、俺達の事を嗅ぎ回るな、捨て台詞は、今回は警告だ。」



「ノリ、お前中国語分かるのか?」



針で刺された胸を叩き、照れたように笑みを浮かべるノリ。



「組外での交渉事に使えるから覚えておけって、黒沢の兄貴に昔言われた…まだうろ覚えだが、単語ぐらいならなんとか分かる程度だよ。」




勉強の嫌いだったと言うノリが、ヤクザになってから語学勉強…不思議な話しだが、今のヤクザはパソコンも使ってシノギを行う時代。そう考えると、どの職業も大変だ。
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