なんでも屋 神…第一幕
事務所にノリを連れて行って一息つく。あの中国人の瞳は、血で汚れた黒い細長の瞳…久しぶりに会った小龍のようだった。



思い出したように、小龍の番号を履歴からセレクトする。



「中国の殺し屋に襲われた。背の高い痩せ形の男と、チビで顎髭を蓄えた筋肉質の男だ。何処の組織の人間か分かるか?」



こうやって冷静になって思う。警告段階とは言え、やはり一葉を連れてなくて良かった。



「本当ですか?しかしそれだけの特徴では、私としても特定出来ません。」



現在日本に居る中国人…省も地域も一緒くたにすると、軽く万単位で数えられる。



「じゃあ、この街に出入りした事のある、針を使う殺し屋のチビでは?」



「…はっきりとした事は言えませんが、その特徴を聞く限りでは、楊とタオかもしれません。二人共フリーのマフィア兼、殺し屋と言った所です。」



小龍との電話を切り、デスクで項垂れる。掴みかけた手掛かりは、またこれで消えた。
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