なんでも屋 神…第一幕
頭上に暗雲を停滞させた安田病院。白い外壁も今日は灰色に見える。されるがまま、一葉に腕を引かれて院内へ入っていく。
足に鉛が張り付いているかのように重い。それでも一葉の前へ進んでいく姿は、駄々を捏ねる子供と母親のよう。
総合受付の前には、休日という事もあり人影は疎ら。ずらりと並んだ簡易スツールの一番端に、頭を抱え込み泣きじゃくる男が一人。
この世の悲しみの全てを天から下されたように、嗚咽を鳴らしながら人目も憚らずに涙を流している。
「…卓真。」
俺の僅かばかりの声が、泣きじゃくる男の顔を上げさせた。
「…神。松が、松の奴が…なんでだよ!なんで彼奴が死ななきゃなんねーんだよ!」
まだ松が死んだと実感も湧かない俺は、卓真になんと言葉をかけて良いのかも分からず、ただ卓真の前に立ち尽くした。
[cross]に入ってから、俺を介して松と知り合った卓真。一言で言えば馬が合ったんだろう。知り合って直ぐ、昔からの親友…いや、兄弟のように仲が良かった。何時も皆を笑わせ、[cross]のムードメーカーだった二人のコンビ…。
足に鉛が張り付いているかのように重い。それでも一葉の前へ進んでいく姿は、駄々を捏ねる子供と母親のよう。
総合受付の前には、休日という事もあり人影は疎ら。ずらりと並んだ簡易スツールの一番端に、頭を抱え込み泣きじゃくる男が一人。
この世の悲しみの全てを天から下されたように、嗚咽を鳴らしながら人目も憚らずに涙を流している。
「…卓真。」
俺の僅かばかりの声が、泣きじゃくる男の顔を上げさせた。
「…神。松が、松の奴が…なんでだよ!なんで彼奴が死ななきゃなんねーんだよ!」
まだ松が死んだと実感も湧かない俺は、卓真になんと言葉をかけて良いのかも分からず、ただ卓真の前に立ち尽くした。
[cross]に入ってから、俺を介して松と知り合った卓真。一言で言えば馬が合ったんだろう。知り合って直ぐ、昔からの親友…いや、兄弟のように仲が良かった。何時も皆を笑わせ、[cross]のムードメーカーだった二人のコンビ…。