なんでも屋 神…第一幕
息を合わせたかのように、ソファから無言で立ち上がる三人。



小龍との電話を切り、ドアまで走って道を塞ぐ。



「三人で何処に行くつもりだ?」



「[三谷組]に乗り込むに決まってんだろ!引く事を知らずに生きてりゃ、やったやられたは仕方ねーよ…それでも、松の件は片をつけなきゃ気が済まねぇだろ。」



薄っすら涙で潤んだ瞳で、強く俺を睨む剛。それに続く毅と修二。



「待て、たぶん松の件は[三谷組]じゃない。ヤクザはこんな時世で、証拠を残すような殺し方はしない。裏に[三谷組]が居るかもしれないが…実行犯はチャイニーズマフィアだ。」



…この己の力を誇示するような殺し方は、ヤクザでは無い。俺は松の死に顔を見て、確信に近いものを得ていた。



「どっちにしろ、[三谷組]が絡んでるんだったら奴等を潰せば良い。神…お前何か隠してるだろ?」



俺はノリの言葉を思い出していた。あの楊とタオが残していった台詞…今回は警告だ…警告を無視した結果が松の死だとすれば、チャイニーズマフィアは此方の情報を掴んでいる事になる。
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