なんでも屋 神…第一幕
此処に集まった奴等の中には、情報を流した奴なんて居ないと思うが、何処から漏れているか分からないのに、此処で話す訳にはいかない。



「一週間だけ時間をくれ…その間にケリをつける。それまでは動かないで大人しくしててくれ…頼む!」



「俺達に理由も話せない奴を信じろってか…それじゃ都合が良すぎるんじゃねーのか神?」



何も反論する言葉は無い。剛の言う通りだ。元々[cross]に上下関係は存在しない。俺を介して知り合い、お互いの力を尊重し、信用出来る男達の集合体が[cross]。



「[cross]は兄弟同然…お前だって、妹が殺された時周りが見えなくなっただろう?俺達の気持ちが分かる筈だ。」



分かる…分かるが、何を言われても引く事は出来ない。これ以上、俺の周りに居る奴を巻き込めない。



「頼む!終わったら全てを話す。上手くいかなかったら、俺を殴るなり蹴るなり殺すなり、好きにすればいい…。」



返事は待たずに部屋を出て、[Z・Z]の兵隊が並ぶ廊下を通り過ぎ、一階まで階段で下りた。





…松…ごめんな。





抑えていた涙が、堰をきったように流れ出した。階段を一歩一歩下る度、溢れ出す懺悔の水滴…。
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