なんでも屋 神…第一幕
一階に下りて涙を拭った。呼吸や気持ちを整え直してロビーに出る。



まだスツールで泣いている卓真を、隣に居る事で慰めようとしている一葉。



「卓真…お前は松の側に居てやってくれ。」



入り口先では電話の終わったJが、此方に向かって歩いてくる。



「J…こんな事頼める義理は無いけど、彼奴等が動かないように見張っててくれないか?」



徐にスツールを立ち、俺の為にタクシーを呼びに行く一葉。



「俺が此処に居るのは、秀太さんの代わりにですから。あの人ならそうしたでしょう。それよりも神さん、ちょっと良いですか?」



常に冷静な判断を下していた秀太。卓真から少し離れたスツールに二人で座った。



「…昨日、一葉ちゃんに付き合って欲しいって伝えました。」



…そうか。まぁ、それが一番良い形だからな。



「見事にフラれましたよ…やっぱり神さんじゃなきゃダメみたいです。最初はヒロさんから、神さんと一葉ちゃんの間を取り持ってやろうって言われたんです。」
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