なんでも屋 神…第一幕
「安心しろ、辰徳じゃない。死んだのは近藤と言う親父だ。」



喉までこみ上げてきた激情を飲み込み、深いソファに凭れた。



「兄ぃ…ブツが戻ったから終わりじゃないよな?こっちは松が死んだんだ。」



眠たそうだった目を見開き、阿修羅のような顔つきになる兄ぃ。



「松の奴が?そうか…松の奴がな…。ウチとしても終われないさ、敵対する組は、完膚無きまでに叩き潰すのがウチの流儀だ。」



[神堂組]に入って、兄ぃの舎弟になると言っていた松を、兄ぃも殊の外可愛がっていた。



…ただ一つ疑問なのは、チャイニーズマフィアが俺の存在と兄ぃとの繋がりを知っていたと仮定すると…何故手を組ませるような事を…松を殺したのかと言う事。



そこだけが気掛かりだった。まだ裏に何かが潜んでいる気がする…。



兄ぃと一時間程打ち合わせをして、[神堂総業]を後にした。



タクシーで事務所に戻ると、ミチルから突然の電話。
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