なんでも屋 神…第一幕
楊とタオに襲われて以来、俺とノリは羽尾の尾行を止めていた。



尾行されているかもしれない俺が尾行をしたら、洒落にもならない。



ミチルには、羽尾に動きがあったら知らせてくれるように言っていた。



そんなミチルの話しによると、羽尾が荷物を纏め始めたらしい。



…間違いなく近々動きがあるはず。



また何かあったら教えて欲しいと言って、ミチルとの電話を切った。



ベレッタと予備マガジンに弾を詰め、適当な紙袋に入れて事務所を出る。



兄ぃとの話し合いで、決行日は明後日に決めた。その間[なんでも屋]は閉める。



とてもじゃないが、こんな状態で店など開けられない。



一階に下りると、屋上から滝のように流れていた雨も、次第に落ち着きを取り戻していた。



もはや雨雲も分からない程、空は黒く染まっている。ジーンズの裾を濡らしながらタクシーに飛び乗り、家へと帰った。
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