なんでも屋 神…第一幕
家に帰っても部屋に閉じ籠もり、暗闇の中ベットの上でベレッタを握っていた。



病院を出てから駆け巡る疑問と疑心…彼奴を信じたい気持ちとは裏腹に、仮説は着々と出来上がっていく。



松との思い出を思い返しては、ベレッタのグリップに涙が滴れた…。


疑問符と免罪符で出来上がるメロディ…螺旋のように渦巻いて心が乱れる。



何時もは遠くで輝く月も、今日は何だか間近に迫るように見え、俺の中に潜む猜疑心を照らしていく。



眩しく輝く月を、何度ベレッタで壊してやろうと思った事か…。



誰かが階段を登ってくる足音で涙を拭う…お袋でもイトさんでもない足音。静かに安全装置を解除して、ドアの方に向ける。



ドアノブがゆっくりと回り、廊下の明かりに切り取られていく暗闇…。



適度な緊張感と、感情を悟られない虚飾の仮面を被り、ベレッタの照準を合わせる。
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