なんでも屋 神…第一幕
この状況をポリに見つかれば、お互い只では済まない。



前にいる二人のチンピラも、サイレンの音に顔色が変わる。俺も目出し帽を脱げば、顔面が蒼白だろう…。



ポリはどちらにとっても身方になる事は無い。だが、この状況を打破する切っ掛けになる筈だ。



緊迫した中、どちらが先に動くか…。



チンピラ二人と俺の間に、葉先だけが紅葉してきている山間から風が吹き抜け、小鳥の囁きと小川の水音を運んでくる。



「そんな奴に構ってんじゃねー!さっさと戻れバカヤロー!」



動いたのはどちらでもなく、バンの後ろに乗っていた、厳つい角刈りの男だった。



三人共、お互いの動きを舐めるように確認しながら、ゆっくりと親指とトリガーを押さえている人差し指だけを動かして、コックを上げる。
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